Four years ago 井ノ山 響

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「同感ですね。響は大切な僕の家族ですから」 ――家族は抜きあったりしません。 「……響が居なくなるなんて、僕は耐えられるのでしょうか」 「私が居るじゃん」 「!?」 「――私は、もう離れられないと思うよ」 成り行きで此処まで来てしまったけど、 響の相手には苛々嫉妬もしてしまうけど、 響が居なくなったらお兄さんも私も一人じゃ居られないと思う。 それに。 抱き合ってしまった今、 お兄さんの匂い、感触、抱き心地、 全て全て、愛しくて離れられない。 体って、正直なんだ。私の可愛いげ無い言葉より、素直に伝わるんだ。 「ねぇ、お兄さん」 「そら、聖と呼んで下さい」 「聖さん」 バシャッ 水面が激しく揺れて、お兄さんが覆い被さった。 花の香りがするバスタブの中、 薔薇の花びらが舞う浴槽で、 甘くて深い口づけをした。 角度を変えて何度も。 息を吸うのを忘れるほど。 暖かくて幸せで、胸が甘く痛んだ。 確かに愛に痛みはつきものだ。 響を失ったとやっと理解した瞬間、 お兄さんの愛に気づいて、応えられたんだから。
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