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「シャワー長いね」
ソファーで体育座りをしながら、お兄さんが入れてくれた紅茶を飲んだ。
苦くて冷めてて、全然美味しくない。
「そ、そうですね。ちょっと様子を見てきます」
パタパタとスリッパで駆けていくお兄さんに私は視線を向けなかった。
まだ、私の身体にはお兄さんの残り香がする。感触が残ってる。身体の至る所に情事の跡が残っていた。
私の方がシャワーを浴びたかったのに。
青ざめて、唇を震わせた響は、なんとか立ち上がり、風呂場に消えた。
シャワーの音だけが廊下に響いていたのに。
「これが何だって言うのよ?」
響宛の段ボールには、新品のビニールが破られていない男物の下着が入っていた。
確かに下着なんて送ってくるのは気持ち悪いけど。
『Loup』っていうオオカミのシルエットのロゴが着いた下着ブランドは、高校生や大学生から人気がある。
確か……響も何枚か持っていた。
「変態ストーカーでも居るのかしら?」
――響のモデル時代の熱狂的なファンのプレゼントかもしれない。
ただ、響なら「気持ち悪い」の一言で笑い飛ばせるはず。
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