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指されたミックは一瞬わけがわからないといった感じでポカーンとしてたが、たっくんの言葉を理解すると同時に背後にブリザードを出現させた。
「先生?既にこの席は僕がいて、藤堂くんの席はそこにある窓際の一番後ろにある空席ですよね?何を言ってるんですか?」
「あ?てめぇの煩わしい姿を見るより、綺羅の可愛い姿を見る方がいいに決まってるだろうが。教師の言う事が聞けねぇのか?」
「先生みたいなだらしないダメ教師が偉そうな事を言わないでください。それに加え、生徒を贔屓するわ、職権乱用するわ、ゴミ教師ですね。いいでしょう、席を変わりますよ。先生をこんな近くで見るなんて僕の目が汚れる」
あ…あああああ…。
このクラスは日頃だらしないたっくんに文句を言いつつもフォローしていたミックで回っていたのに。
ミックがたっくんを見放したら纏まらなくなるんじゃないの?
早々に学級崩壊の危機?
つか、俺、気づかないうちにまた前を向いていた。
とりあえず、またなっつんの後頭部でも見ておこう。
「お前!竜丸に酷い事を言うなよ!!!」
酷いのはたっくんだから。
お前が余計なことを言うからミックの背後の気温が更に下がったから。
なっつんの後頭部を見てるのにホッキョクグマが寒さで震えている幻覚が見えるくらいだから。
編入生を無視したミックはガサゴソと席移動の準備をしている。
「おい!!!無視はいけないんだぞ!!!俺に謝れよ!!!」
たっくんはどうした編入生。
「それは失礼しました。では、藤堂くん、この席をどうぞ」
「おお、悪いな!!!ところでお前の名前はなんだ!!!」
この状態で名前を聞ける編入生が恐ろしい。
空気読めよ空気を。
「ガッキュウイインです。好きに呼んでください」
ちょっ…、ミック、それはいくらなんでも…。
まだミック・スミスの方が名乗るならマシだって。
ばりばりの日本人だけどガッキュウイインよりかはマシだって。
「ガッキュウイインだな!!!それにしても変な名前だな!!!お前の事はイインって呼ぶな!!!友達になったんだからさっきのことは水に流そうぜ!!!」
素直に信じるのか!?
「…ぶふっwww」
なっつんが笑を堪えきれなかった様だ。
それを皮切りに、あちこちで忍び笑いが起こる。
ミックは新しい席に着くと教材の片付けを始めた。
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