第二章

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「栞姉」 「んー? どしたの? コーちゃん」  解散するなり、備え付けのパソコンに座る栞姉。まだ作業が残ってるのだろうか? がさがさファイルを探しながら振り替えること無く返事を返す。 「コーちゃんはやめろ。ちょっと飛行許可が欲しくて」 「可愛いから却下。それと、飛行許可も却下」 「飛ぶくらいは、許してくれないのか?」  機動するなり、カタカタと何かを打ち込み始める。だが、エンターキーをひとつ叩くと、くるり椅子を回しながら振り返り、腕を組んだ。  ーーあ、不味い。これは栞姉の怒る時の、 「コーちゃん! そこに座りなさい」 「あー、許可が貰えないなら俺帰るからさ」 「す・わ・り・な・さ・い」 「……はい」  癖なんだよなぁ……。今更どうにかしようとしても、どうにもならないのも検証済みなんだし。  あれや、これやと考えてみても、十数年思い付かなかったんだ。諦めるか。  足りない頭の回転を落としつつ床に正座するやいなや、ペシッと言う効果音がしっくり来るチョップが落ちてくるーー勿論、俺の頭に。 「今日、何時間飛んだかわかってる?」 「軽く、一時間位か?」 「そう、一時間と三分」 「それって、訓練より、短かったろ? 俺はまだ……」 「だ・め・で・す!」  更にペシッとチョップをひとつ降らせると、再びパソコンの方へと向き直る栞姉。 「明日も学校、有るんでしょ?」 「……一応」 「何限から?」 「一限」 「それじゃあ、あと六時間も寝れないでしょ」  何処かあきれた表情を浮かべながら、パソコンに指を滑らせる栞姉。  結局、正論を振りかざされれば、俺は二の句は続ける事は出来ない。それを知っているからこそ、はっきりと【駄目だ】と言うのだろう。  学生の本分を全うしろ、ってことなんだよな。  ここで、自分だって学生なのに、残業したりしてるじゃないか! って、反論も出来るんだろうが「お姉ちゃんは良いの」なんて台詞で流されるに決まってる。  仕方ない。火に油を注ぐだけだろうし、大人しく引き下がって今日は帰ろう。 「学校は学校。しっかりいかないと、駄目なんだからね!」 「わかったわかった。今日はもう帰って休むよ」 「はい、宜しい」  すごすご引き下がると、かえった。 
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