夢のサンタクロースに

プロローグ

　Q.【サンタクロースを知ってるか？】

　そう訪ねれば、今の日本に住む殆んどの人がイエスか、ハイ、うん、勿論等の言葉で返すだろう。

　トナカイが引く空飛ぶソリに乗って、聖夜の夜にプレゼントを配って回る、夢のような髭面のお爺さんを想像する人が最も多いのではないだろうか？

　そのサンタが本当に居るのか、居ないのか。そんな議論をしたひとも少なからず居ると思う。

　だが、その議論に終止符を打ったのは、誰でもないサンタクロース自身だった。
　公的な演説で、年齢を理由に突如引退を宣言すると同時に、サンタクロースを残すべく、世界サンタクロース機構【WSO、通称ウソー】の設立を宣言。彼の存在が広く世に知れ渡った瞬間だった。

　各国が子供たちの夢を守るためか、はたまた何かしらのビジネスの臭いを嗅ぎ付けたのか、こぞってWSOへの参加を表明。
　俺こと、支倉晃【ハセクラアキラ】の住む日本も例外ではなく参加を表明し、必要な設備を揃え活動を開始した。

　そして、来週にクリスマスの迫った、十二月の中旬。

　俺は、ある行事を済ませるために、名古屋へと向かう。