偽録

　最下層クラスの妖怪にコテンパンにされた私は、言うまでもなく試験から落ちた。

　周りの冷ややかな眼差しと中傷交じりの含み笑い。

　最終審査にまでこじつけたにも関わらずの最悪の結果に、私は逃げる様に、試験会場を後にした。

　それから暫くの間、私は家から一歩も出れず、自室の布団の中で泣き崩れた。

　涙は涸れ、声は嗄れ、それでも尚、試験に落ちた事による憤りと、そこから逃げる様に試験会場を後にした自分自身を後悔しながら、その日の出来事がなくなっていればと、ずっとそう思っていた。

　しかし、現実はそんなに甘くない。

　私の人生の中の汚点ともいえるその日を以って、私は落伍者の烙印を押されることになったのだから。