偽録

14/138
前へ
/138ページ
次へ
「へぇ、それじゃあ、今回はどんなのを召喚したんだ?」 「猫です。あ、猫と言っても、尻尾が二つに分かれていたので。あれは猫又ですね。漸く、妖怪を召喚する事が出来たんですよ」  勿論、猫又と言っても、見た目はまだ生後間もない小柄な猫(といっても、猫又は元々猫が年を取って化けたものであるが)であり、使役するにしても何の役にも立たないだろう。  しかし、妖怪は妖怪。  今までは、妖怪とは異なるものを召喚、若しくは何も召喚されないなどしばしばあったが、妖怪が召喚できたという事は、例え失敗であっても、大きな前進と言えるだろう。  だが、猫又と聞いた卜部は、肺の中の空気を全て吐き出すかのように盛大に噴き出した。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加