偽録

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「はっはっは!! 猫又ってお前、危険度Eクラスよりもはるかに下の奴じゃねぇか。でもまぁ、召喚すること自体は成功したんだよな」 「笑いすぎですよ。でも、召喚したという意味でしたら成功しました。ですから、これからもっと修行を積んでいけばいずれは……」  いずれはもっと凄い妖怪を召喚し、使役する事が出来る。  そう言いかけた言葉を、奏は飲み込んだ。  漸く召喚できたとはいえ、ランクEを遥かに下回る猫又。  定義上、ランクE以下は存在しないのだが、それでも、ランクの中にも上下があり、今回召喚に成功した猫又は、卜部の言う通り、何の役にも立たない存在だったといえよう。  4年をかけて漸く猫又。  これから後、どれくらいの年月を費やせば、まともな妖怪を召喚し、そして使役する事が出来るだろう。  そう考えただけで、まだまだ先は長いのだと、奏は内心、溜息を漏らした。
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