第1話

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某国雪山。 「ハァハァハァ」 二人の少年少女が走っていた。後ろに複数人の男達を連れて。 「奴等を逃がすな!!」 男達が叫ぶ 「ハァハァ、リーシァ。お前一人だけでも、逃げてくれ…。お前の『空間転移能力』があればお前だけは逃げられる」 少年が少女に告げる。 「嫌だ!」 少女は泣きながら言う 「私が逃げれてもアウロスが逃げられないんじゃ意味がないよ!」 「大丈夫、安心しろ。俺は『サイキッカー』だぞ?しかもレベル10の」 アウロスはリーシアの頭をわしわしと強めに撫でながら言った。勿論走りながら。 「うん、分かった。ランク6のレベル10なんてあんまり誇れる数字じゃないけど」 「ランク10でレベル2の不安定な能力しか使えないお前よりはましだと思うぞ?」 アウロスは笑顔で皮肉っぽく言った。 ―タァン 雪山に乾いた発砲音が響く。 「銃まで使い始めたってことはもう俺らを『廃棄』するつもりだな、奴等。雪崩でも起こすつもりか」 アウロスが憎々しげに男達がいる方向を睨みつける。そして、ただ一言。 「燃やし尽くしてやる」 ―ドンッ アウロスの言葉に呼応するかのように、雪山が突然グラグラと振動し始めた。 「リーシァ」 アウロスはリーシァの方を見て言った。 「今ここの雪山の下の方にあるマグマを無理矢理地上にあげてる。ここは危険だ。まあ、マグマなんかなくたっていつも危険だけどな」 アウロスがニヒヒと笑った。そしてすぐに真面目な顔になり、言葉を続けた。 「だからお前は日本に行け。法治国家だったか?とりあえず日本は安全らしい。分かったか?」 「…分かった」 リーシアは涙を流しながら、だが力強く頷いた。そして、パンッという破裂音と同時にリーシァは姿を消した。アウロスはそれを見届けて、 「しかし…マグマはやりすぎたかな?それより、キタラ達はちゃんと逃げれたかな…これに巻き込まれなきゃいいけど」 マグマが山頂から吹き出してくる。 「さて、いっちょ気張るか!!」少年はマグマに指を向ける。そして、まるでオーケストラの指揮者が奏者たちを誘導するかのように、マグマを操り始めた。
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