過去との葛藤

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―――♪~♪――― 暫くすれば今度は雷牙の携帯が鳴り響く。昨日は私で今日は雷牙なんてなんだか忙しいわね。 仕事の事かもしれないし雷牙はベッドから起き上がり携帯を眺めた後にベッドサイドへと置いた。 「また女から?」 「まぁな」 「出たら良いじゃない」 「今はお前といんだろーが」 「私は帰るから気にしないで」 携帯の着信音が鳴り続ける中、私は身を起こし下着へと手を伸ばした。 この前と同じパターンだわ。 …その時。 不意に背後からぎゅっと抱き締められた。 「これじゃ着替えられないじゃない」 「お前はえらく冷めてんだな」 「誰のせいでこんな風になったと思ってるの」 「俺か」 「正解」 抱き締める雷牙の腕を軽く掴むと無理矢理解き、ショーツを着てブラを身に付ける。その様子をじっと眺めている雷牙の視線を浴びるも決して振り向かない。 いいえ、振り向きたくないんだと思う。昨夜雷牙に抱かれて眠りに付く時、幸せだった頃を思い出した。 雷牙と別れてから封印していた、情交の後の幸せの余韻。 昨日、少し感じてしまった。
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