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「なら俺が今居る女を全員切ったら、お前は今居る男、全員切るか?」
「どうして貴方と一緒にしなきゃならないのよ。話がおかしいじゃない」
「どうなんだ?」
雷牙は私の手をぐっと強く引くと、真剣な眼差しでじっと見つめる。
私は私、貴方は貴方。
「どうもこうも、もう二度と貴方に左右されたくないの。分かったら離して」
「俺が簡単に離すと思うか?」
「…お願いよ…離して…」
身体が小さく震える。どうしてか分からないけど、様々な感情が入り交じり久し振りに涙が出そうになる。
「…っ…悪い」
雷牙は私の表情を見るなり咄嗟に私を胸へと抱き締める。
こんな事を望んでるんじゃない。貴方に抱き締めて貰いたい訳じゃない。
どうしてか分からないけど、胸が苦しくてきゅっと締め付けられる。
「…離してったら!」
「落ち着いたら離してやる」
「…っ…お願いだから…私に優しくしないで…」
「それは無理な話だ」
雷牙は私をぎゅっと抱き締めながら宥める様に背中を優しく撫で続ける。
どうしてこんな風に優しくするの。昔みたいに、冷たくしてくれたら良いのに。
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