懐の中の綻び

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《十六夜side》 ラテのお腹ですっかり寝てしまった。お腹の毛はモフモフしてて気持ちいい。 「あ…朝になっちまったな」 「有栖大丈夫だったかな。かなり家の話で落ち込んでたしな」 そこにドアをノックする音がした。 「十六夜さん、朝食の用意が出来ました」 「ハーイ!すぐ行きます」 急いで身支度をするとダイニングにはあげはと黒兎しかいなかった。 七夜が焼きたてのパンをもって現れた。 「急に北川さんがいなくなった様で…ベッドメイクの方が少々遅れそうです。すいません」 あまり驚いた風もなく淡々というので 「いなくなったって…心配じゃないんですか?」 「それは心配ですが…荷物も無くなってましたので。こういう住み込みの仕事の人はワケアリの人も多いので本人の意志だと思って深く詮索はしないようにしています」 「そうなんですか…あ…有栖は?」 「殿はお部屋で休まれています。朝食はいないということでした」 やはり柚木家の話はショックだったのだろう。 『有栖どうしたの?』 『昨日嫌な話聴いたからショックで寝込んでるのかも』 あげはが心配そうな顔をしたので頭を撫でた。黒兎は淡々としていた。心配じゃないのか?少しムカつきながら席についた。 朝食のあと、胡蝶がいた部屋に行ってみた。七夜がいったようにもぬけの殻でなにひとつ残っていなかった。敵は証拠を残さない。あの胡蝶が…恨んでいたにせよ育ててくれた恩は感じていた。 もう跡形もなく無くなると恨みの気持ちも昇華してしまった。ポッカリと心に空洞ができたような気がする。 その足で有栖の部屋に行く。ノックしても返事がないし鍵も掛かっている。 「有栖?起きてるか?十六夜だけど…開けてくれないか?」 「疲れてるんた。一人にしてくれ」 「わかった。なんかあったらすぐ俺をよべよ」 「わかった」 声に張りも無かった・・・心配だ。でも今はそっとしてあげるしかないだろう。 その間に少しでも情報を集めないと。 残る、ミカエルとラファエル、ルシフェルを探さないと・・・。 やることは山積していた。午後は白兎の見舞いに病院に行くことにしよう。
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