懐の中の綻び

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白兎は思ったより元気であと一週間もすれば退院だと言う。事の顛末も説明しておいた。 「黒たんはなんて言ってる?俺らの家も関わってんじゃないかな?僧都も・・・僧都が語ってくれた事と変わってくる。常蓮僧都がだまされていたのか、それとも・・・」 「後、残っているのは三人だ。お前が戻ってくるまでにいろいろ調べておくつもりだけど・・・あげはの結界ありがとな。安心して仕事が出来る」 「でも気をつけてな。夜は二重の防御だけどその代わり昼間はフリーなんだから」 「わかった。ありがとう」 「はーもう!早く帰りたいよ。つまんなくてしゃあないもん」 「その割に、さっき看護婦さんにいいよってなかったっけ?」 「えっ?見てたの?だってそんな事でもしないと入院生活に張りが出ないでしょ」 「相変わらずの女ったらしだな・・・あげはに言っちゃうぞ」 「あーイザくんいわないでぇ~!信用無くなっちゃうじゃん」 「もとから信用なんかないだろ?」 二人で大笑いした。こんなに笑ったのは久しぶりだ。 「このところ黒兎の様子が変なんだ。ちょっと見ててやってくれないか」 「まぁ黒たんも今回の事はショックはあると思うよ。でも一回も見舞いにも来やしない・・・薄情すぎるわ。兄が入院してるっていうのにさぁ」 「お前の方が兄だって事にびっくりするけどな」 「よぉ言われるわ」 「イザくん、若のこと頼むわ。あと一週間がんばってや」 「わかった」 元気な顔を見てバカ話をして楽しいひと時だった。少し心のつかえが軽くなった気がする。
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