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病院から帰ってくると迷わず有栖の部屋に来た。
七夜から昼食も摂ってないと聞いたからだ。これでは身体を壊してしまう。封印どころじゃない。たぶん正攻法では入れない。しばらく中に入る方法を考えていた。
しばらく物陰で見ているとあたりをキョロキョロしながら部屋に入っていく黒兎の姿があった。手には食事をもってきている。
「なんだ。鍵まで持って・・・七夜さんも黒兎が食事を運んでるって言ってくれればいいのに」
一度屋敷を出て庭から有栖の部屋の窓を見つめた。ココの二階・・・いけない事はない。丁度その上に三階の屋根裏部屋だあった。あそこから降りるか・・・。
屋根裏随分使っていないらしく埃っぽかった。色々なものがある・・・使われなくなった家具、本の山・・・アルバム?
あとでまた来よう・・・そんな事を思いながらロープを家具の足に括りつけ壁を伝っていく。有栖の部屋の窓は空いていて中の会話も聞こえた。
少しのぞくとソファに座ってきて黒兎の持ってきた食事を食べていた。靫だ・・・なるほどそういうことか。
「若はどうですか?表に出ようとしてませんか?」
「心の篭に閉じ込めた。そう簡単に空かない」
「これから若をどうしましょう。有栖は仮にも天照の完全体だ。そのままでは有栖を凌駕出来るわけがない。時空の穴はそのままにして闇の力を集めさせる。それを使えば闇の天照になれる」
「じゃあ、穴はこのまま?」
「新学期になればまた学生たちの闇を喰らって更に大きくなるだろう。それまでオレは有栖のふりをして十六夜たちに接する。十六夜と寝る事もあるだろう」
「気分が悪いですが・・・仕方ないでしょう。何倍かになってお仕置きするかもしれませんが・・・」
「バカか・・・お前//」
顔を赤らめている・・・あの靫が・・・。
いやそんな事よりあいつら裏切りやがって有栖を閉じ込めるだと?
有栖の身体を凌駕して自分が表の存在になろうとしている。
どうすればいいのだろう?有栖を助けなければ・・・!でもどうやって・・・?
有栖と靫の秘密。柚木家の悪しき儀式・・・どんなものだったんだろう。
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