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「恐れながらも自分たちがコントロールできなくなった闇の穴を塞いで欲しかったのだろう。身勝手な話だ」
「お前の主は誰だ!答えろ!」
「ぐはっ!」
土蔵の高い窓から胡蝶の頭が銃で撃ち抜かれた。すぐ窓を見たがもう人影もない。
「くそっ!」
追いかけようとしたが、有栖が肩を掴んで止めた。
「十六夜、行っても捕まらない・・・」
「胡蝶・・・やっぱり人間じゃなかった」
床に広がる黒いドロドロした液体を見ながら呟いた。
「誰が主だったのか・・・わからず仕舞だったな」
黒兎は残念そうに云った。
「なんとなくわかってきた・・・白い集団は三大天使の名を名乗っていた。胡蝶はその中では『ガブリエル』、メシア(救世主)の誕生を告知する役目を負っている。それに唯一の女性の天使だ。
ことあるごとにボクにいろいろなことを教えてきた。それが100年生きる理由だったんだろうか・・・つらい役目だな」
「そうするとあとは最強大天使ミカエルとラファエルだな」
「あと、黒の集団のルシフェルもまだわかっていない」
「もう父上や母上、おじい様も信じてきたのに・・・この家自体が皇家の闇の仕事を請け負う家だったなんて・・・何も聞いてなかった」
「その巻物はいらないな・・どう塞ぐかは胡蝶が語ってくれた」
「有栖行こう」
「若、我々がすることは変わりません。穴を塞いで闇を封じることです」
「ああ・・・そうだな」
もう引き返す道はない。仲間たちとともに前に進み平穏な日々を取り戻すだけだ。
三人は屋敷に向かって歩いて行った。その背中には迷いはなかった。
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