懐の中の綻び

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「貴方も柚木家の暗部についてお知りになっていたのですか?」 「オレは有栖と同人格だった頃の話だ。アイツの知っている事以外は関知していない」 「靫さまもやはりショックを受けられたでしょう?」 「多少はな。柚木家も胡散臭い家族だったから・・・柚木聖太郎がオレを犯した時、確かに霊力を渡された事は確かだが、魔の力も同時に受け取った感覚がある。 オレがミカエルだったらどうする?お前も闇に落ちるか?一緒に・・・」 「貴方がそう命ずるなら・・・」 「十六夜や白兎、有栖を手にかける様な事になっても・・・」 「言ったでしょ、貴方自身が・・・私は貴方の下僕だと。その覚悟はとうの昔にできています」 「光の天使、ミカエルが若で、闇の堕天使ルシフェルが靫様でも私は迷わず堕天しますよ」 「神に背いても?仏の道に反しても・・・」 「私にとって貴方が神であり、仏に道なのだから」 黒兎は靫を引き寄せて唇を落とした。 「んん・・・」 靫の声にならない声が黒兎を煽る。 「靫様、地獄の果てまでお供しますから・・・今は私に全て委ねて下さい」 熱い囁きが耳をくすぐる。 「ああ・・・良いだろう。お前は一生僕の下僕だ。放してやるものか」 「今夜は貴方を放しませんから」 「ああ・・・お前の好きにしていい」 靫の身体を貪る黒兎の頭をギュッと抱きしめた。 「本当にはしたない皇子様だ」 二人はそのままベッドに深く沈みこんだ。
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