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朝食で起こされたら起きられなかった。昨日寝たのが朝方だったのでもちろん身体が動かなかった。
朝食を断ってゆるゆると時間の狭間を彷徨っているとどこからか声がする様な気がする。
白兎かな?でも・・・眼も開かない。
ここのところいろいろありすぎた。人間不信になりかけてる。
「や・・・ざや・・・」
「誰?」
「いざや・・・十六夜・・・」
声がはっきりしてくる。この声は・・・。
「有栖!」
「十六夜」
言霊か?靫に気付かれないかな?
「有栖・・・大丈夫か?って大丈夫なわけないよな・・・ごめん」
「言霊もなかなか届かなくて・・・」
「有栖に会いたい」
つい本音が出る。言っても仕方のない事なのに。
「ボクも十六夜に逢いたいよ」
そんな事を云われると心ごとガラガラと崩れそうだ。
「靫は何をしているんだ?」
「色々あったんだ・・・説明するな」
「ああ」
懐かしい声。靫の声は盗み聞きしたが同じ身体からなのに全然違う声。
「胡蝶と常蓮僧都はこの屋敷に潜入していて白の集団のガブリエルとウリエルだった事が分かって・・・二人ともすでに魔物に凌駕されてて・・・七夜さんに狩られた」
「七夜は?集団の一員なのか?」
「それが曖昧何だよね。肯定も否定もしない。黒の集団のルシフェルだと言う事だけは認めたよ。だけど俺達が壊滅させちゃったし・・・もうやり様がないって。
七夜さんの目的は柚木家への恨みからきているようだ」
「柚木家への恨み?まぁ弟のボクに仕えなきゃならないのは屈辱だと思うが・・・」
「そうじゃないよ。あの人、有栖が生れた時からずっと一緒に暮らしていたんだ。離れていたのはお母さんの舞子さんが病院に入院している間は看病の為に他で暮らしていたらしい」
「聖太郎さんはお母さんの靫さんと愛人の舞子さんを一緒の屋敷に住まわせていたんだ。今の七夜さんの部屋に一つの家庭をもっていたんだよ」
「父上が・・・それでは病気にもなるな」
「常蓮僧都は舞子さんの親父さんでずっと見守ってきたようだ」
「黒の集団と白の集団の目的は何だ」
「黒の集団は七夜さんが柚木家の野望の阻止と日本政府の混乱を目的にしていた。若い餌を魔物や死者に与えて、やつらを使って混乱に陥れようとしたそうだ」
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