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「ずっとそばにいたのに・・・七夜の想いを理解しようとした事がなかった・・・いけないのはボクだ」
「有栖のせいじゃない。七夜さんの恨みは先代や靫さまへの恨みだ」
「その二人はボクの親だ」
「だからって子供が怨まれるのは筋違いだろう?」
「いや・・・七夜はどう思っているかな?たぶん僕も同罪だ」
何も言えなかった。確かに道理はそうでも人の気持はまた違う。
自分の弟に使われる身であることを怨んでいたかもしれない。
「白の集団は明治年間から存在していて、この世に天照の完全体を復活させ、天皇として戴き、『神の国』として日本帝国を築く事を目的としている。
明治天皇の親王として送り込むには間に合わず、そのまま目的は柚木家の日本征服を企てるに至ったらしい」
「馬鹿馬鹿しい。おじい様と父上や先祖がそんなくだらない事をしようとしていたのか?そんなことの為にまったく関係のない人がどれだけ命を奪われ、不幸になったか・・・考えただけで虫唾が走る」
「有栖」
「柚木家はボクの代で無くなるそれでいい」
「まさか・・・靫と黒兎はそれを実行しようとしているんじゃないか?自分たちが靫を戴いてミカエルになって・・・」
「そんな」
「もう空席だったんじゃないか、聖太郎さんが亡くなってから・・・。
もともとは有栖(神)を頂点としてミカエルが先代、ラファエロが先々代。
柚木家は100年生きるすべを知っていたから、それまで生き残る算段をしていたんじゃないだろうか」
「その方法を逆手に利用したのが七夜だ。逆に死者を蘇らせて手駒にする為に使用したというわけか」
「七夜さんはウリエルを継ぐように言われているようだけど、柚木家の為に動こうとはしないだろう。黒兎がラファエル、あとミカエルは・・・」
「十六夜だ。力から言ってそれが相当だろう」
「俺は協力しない。有栖・・・お前を救える方法はないのか?」
「・・・・分からないから出れないんだ」
「早く会いたい。抱きしめたい、キスしたい、有栖と・・・」
「バッ!その先言うなっ//ホント恥ずかしい奴っ!」
どんな顔をしているか想像できそうなくらい・・・本当にかわいい、そして愛しい。
「靫の腹ん中そこからわかるか?」
「出来るようになれるか試してみる」
「頼む。有栖を救いたいし、靫と黒兎を止めたい」
「探ってみる」
声は遠のいていった。
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