17人が本棚に入れています
本棚に追加
身体が動くようになったのはもう昼の12時をまわった頃。
一種のトランス状態だったのか?夢かもしれないし・・・本当に有栖と話せたのかどうか。
でも記憶はハッキリしていて夢ならすぐに忘れてしまうものだろう。今はあの会話を信じよう。ベッドからやっとのことで起き上がるとシャワーを浴びてダイニングに行ってみる。
七夜が後かたずけの指示をしていて人でごった返していた。
「あっ・・・十六夜さん、もうお加減は宜しいのですか?今、食事はかたずけてしまって」
いつもの話し方だ・・・昨日とは全然違う。まったく喰わせ者だ。
「ああ・・・いいです。腹減ってないし、減ったら買い食いでもしますから・・・」
「そうだ。果物ならすぐお出しできますよ。待ってて下さい」
そそくさとダイニングを出ていった。
ぼんやりと窓の外を見ていたら黒兎が買い物袋を抱えて戻ってくるのが見えた。
「お待たせしました。今朝はマンゴーをお出しして残っていたので」
「いいですよ。昨日の喋り方で」
「みんなの眼がある時は今までどおりに」
「あ・・・そうですか。今、黒兎が買い物袋を抱えて帰って来たんですけど、まだ起きてこないんですか?」
「ああ・・・靫様は全く出てこないですね」
「あんたは部屋にいるのが靫だって知ってるんだな」
七夜に小声で言った。あっと気付いたような顔をして
「まぁ、あの方の事は殆どわかりますから」
「じゃあ、靫の頭ん中教えて下さいよ」
「じゃあ、その件は後ほど」
そういうと奥に下がって言った。後ほどっていつだよ。あっちから指定があるってことか?七夜の出方を待つことにした。
最初のコメントを投稿しよう!