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夜、9時頃部屋をノックする音がした。
「はい、どうぞ」
「来てやったぞ」
「昼間の態度とは別人だな。あんたこそ二重人格じゃねぇの?」
「わるかったな。職業上ああいう態度なんだよ・・・で何が聞きたい」
「有栖のことならなんでもわかるんだったよな。靫の心の中はどうだ」
「有栖よりは分かりにくいが、まあ、だいたいわかる」
「それは頼もしいな。今、靫は何してると思う?」
「力を蓄えているカンジかな。ときどきあの穴の方に行くのを見かける。
出てきた悪霊を取り込んでいるのかもしれない。ただあそこは俺のテリトリーだ。魔法陣で結界を張っている。中に入れば魔物や悪霊に憑かれて喰われても仕方ない」
「俺も行ったけど襲われなかったし、喰われなかった」
「神ゆえか・・・まったく腹立たしいねぇ。だけど扉は開けなかっただろう?」
「扉に悪霊がビッチリ憑いてて近付けなかった。開けたら靫は来るかな?」
「俺に開けろと?冗談じゃない」
「少しだけ、そうすれば靫がおびき出せるだろ」
「あのドアは黄泉への入口だ。俺しか入れ・・・いや、十六夜、お前いけるかもしれない須佐之男は母親の伊邪那美に逢う為に黄泉に行っている」
「黄泉にいってどうすんだよ」
「聖太郎に会うんだ。なにかしらの話を聞けるかもしれないぞ」
「あんた、そのまま俺を閉じ込めようと思ってないか?」
「そうかもしれないな。でも行くか行かないかは自分で決めろ」
ニヤリと嗤って七夜は答えを明日までに寄こせと言い残して帰っていった。
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