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七夜にとって俺は邪魔だが、有栖が靫のままなのも困っているはずだ。
このまま進展しないのもよしとしていない。どう転ぶか楽しんでる風もある。
乗るのも手かもしれない。
靫の力が強くなって有栖の存在が危うくなっていくのを指をくわえているのも嫌だ。行動あるのみかもしれない。
そんな話を白兎にするとえらく反対された。
「絶対罠だって。喰えない野郎だよ・・・」
「それは計算ずく、だけど黙って見てるわけにもいかない。靫の力が強くなって有栖がますます出れなくなるかもしれないし、行動するしかない様な気がする」
「それもそうだけど」
「俺がダメだったら、あとお前、頼むわ」
「やっ、やめろよぉ!そんなのできねぇって」
「黒兎を全力で止めてくれ」
「十六夜・・・」
「頼んだ、妹の事も」
ポンと白兎の肩を叩いて部屋から出る。そのまま自室に戻った。
今日は有栖と話せるかな・・・。
夜半過ぎ声がした。
「・・・ざや・・・十六夜・・・」
「有栖か?」
「うん」
「また話せるな」
「うん//」
こそっと下を向いてはにかんだ様なカンジの声だ。
「靫どうだ?」
「僕を抹消するのが目的みたい。ハッキリとは分からないんだけど」
「どこに閉じ込められてる?」
「身体の中じゃない。魂が身体から抜け出して身体に鍵を掛けられたような状態」
「ここにこれるか?」
「うん」
部屋の中にぼんやりと薄い光の様なものが入ってくる。
「有栖か」
「うん」
「魂なんだな。きれいな色だ」
手の平にのせて頬ずりしてみる。でもやはり実態がない。触れる事が出来ない。
「触りてぇな、有栖」
「お前、また恥ずかしい事を・・・//」
「魂が身体から離れる・・・か。幽体離脱状態なわけだよな。七夜さんに黄泉に行ってみないかと誘われた」
「ええっ!罠じゃないのか?」
「そうかもしれない。でもこのままじゃ靫も魔力を集めてますます帰れなくなるし、靫だって魔物に侵食される」
「靫は魔物を喰っているのか?」
「たぶんな」
「確かに魔物に侵食されるな。僕の母上はそうだった。魔物を喰らって霊力を貯めようと思っていたら、魔物に侵食されて最後の姿はキツネだった」
「おや、有栖の魂か、美しい色だな」
ドアを勝手に開け、黒い人影がドアに寄りかかって立っていた。
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