17人が本棚に入れています
本棚に追加
『母の事だけじゃないさ。アイツは神なる魂に引かれて喰らう習性があった。ただの獣だ。棚葉朔夜にも十六夜程の完全体じゃないが須佐之男の魂を継いでいたから妹に奪われたのが悔しかったんだろう。妹がいち早く気付いて逃げたのも気にいらなかった』
『母上は十六夜のお父さんを喰らうつもりで?胡蝶も知っていて棚葉朔夜を餌として献上したんだ』
「そんなっ!」
「あいつら柚木家の人間はとにかく神なる存在を欲しがっていたからな」
『靫は俺も喰おうとしたんだぜ。一応何の能力もないが神なる存在だったからな』
『それで殺したの?』
『神なる存在に対して無礼な振舞いだったからさ・・・あの雌狐め!』
『全然知らなかった』
『もう魔物だったから・・・俺に襲いかかっている靫を見つけて聖太郎が天叢雲剣でやったんだが・・・奴の霊力じゃ足りなくて。
その時、天叢雲剣から俺のところにこれが生れた・・・神狩鎌(サイズ オブ ゴッドハント)。普通の魂なら無に帰してしまうくらい強い。
靫は自分が神に昇華しようとしていてね・・・欲深い女だよ。最後は有栖も喰おうとしてた。だから狩ってやったのさ』
『母上が・・・』
『まぁ本当は靫がルシフェルだった。悪魔の名にふさわしく強欲で神なる魂を求めて魂を喰い続けた。その抜け殻の身体に偽物の魂を宿して動かしたのが俺ってわけ』
『にい様は靫を消すつもり?』
『今いる靫の魂の本体は有栖川靫だ。無に帰したと思ったのに、あろうことか自分の息子の体内に残しやがった。あれは許せない』
「でも、今までの靫は有栖川靫さんとは思えないんだけど」
「お前、まだわかってないのか?アイツはお前を狙って来ただろう?靫の常套は色仕掛けだ。お前何回アイツと寝たんだ?」
「ちょっ・・・そんな・・・」
「有栖川靫は子供の俺にも色仕掛けで来たんだぞ?淫獣だ」
「有栖の前でそんな・・・」
「コイツの知っている顔とは別の顔だ。もう知っていてもいい歳だ」
最初のコメントを投稿しよう!