地獄門(デス・ゲート)

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「じゃあ黄泉にはお母さんの有栖川靫はいないよね」 「ああ・・・魂は有栖の身体の中にある」 「黄泉行きの意味は?」 「魂の引き剥がしだ」 「黄泉は基本身体ごとはいけない。魂と身体と一緒に黄泉に行けるのは俺達三人だけだ。 三人が来ればこの事を知らない靫はも地獄門を通って黄泉に来る。 通った時に俺が門を閉じる。たぶん時間がかからないで身体から魂が剥がれるだろう。靫は結局天照にはなれないからな」 『聖太郎の魂から話を聞けと言ったが奴は何にも知らない。それに夜叉落ちして地獄行きしてるから嫌なもん見ることになる。奴には会うな』 『にい様』 「十六夜、黄泉から帰ったら有栖をどちらが手にするか勝負しないか?ガチンコで」 「なっ、なにいってんですか?」 「お前が手荒く扱っているか心配でならなかったよ。ガキのころからずっとモノにしたいと思って傍にいたんだ。横からかっさらわれると思わなかった。  お前が普通の人間だったら俺の能力で潰していたけど、お前は神なる存在だ。  だからガチンコで戦いたい」 「有栖を好きなんですね」 「好きって言う問題じゃない。私の唯一のモノだ。慈しんで育ててきたんだ」 「わかりました。受けて立ちます」 「よろしい。それでこそ須佐之男だ」 『・・・・』 有栖は何も言わなかった。思わぬ告白に絶句したのか、それとも照れているのか?姿を消してしまった。 七夜がそんな気持ちで弟を見ていたなんて・・・傍に影のように従い、愛おしく思っていたんだろう。七夜と共に暮らした年月では絶対勝てない。悔しい気持ちだいっぱいになった。
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