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地下のと鳥居の反対側にも廊下がある事も知らなかった。だまし絵になっていて、暗がりも手伝ってまったく存在に気付かなかった。
奥には使われていない倉庫がある。鍵は七夜から借りてきた。白兎と顔を見合せながら頷く。
かちゃ・・・鍵が開く音がしてゆっくりと扉を開ける。
そこには光る魔法陣の様な模様の中に紫色の光を放つ穴があった。穴の大きさは5m大、体育館のそれとは大きく違った。その真ん中に黒い観音開きのドアが立っている。
魔法陣の中に進もうとすると
「やめとき」
白兎が腕を掴んで止めたが
「やってみないと始まらない」
忠告も聞かずに魔法陣の中に入る。
魔法陣に足を踏み入れた途端、黒い扉にはびっちりと人の上半身や顔等がありこちらの方に手を伸ばしてくる。苦悶の表情、叫び、それはおぞましい怨霊が来るものを喰い尽くそうとするようだった。
一歩下がって白兎に言った。
「あれを沈めないと開かない仕組みだな」
「よく冷静に言うなぁ。あれ見ただけで俺っち、ション便チビりそうやったのに」
「そこを通れるのは死者か黄泉の王か、悪魔ルシフェルと言うわけか」
柚木家は何故地下に神聖なる神棚と、地獄門を持っているのか。
もう少し調べた方がよさそうだ。
悪霊を沈める方法、有栖を救う方法・・・まったく浮かばない。
部屋に帰って天井を見つめながら考えを巡らしても妙案が出るわけもない。
今日はおとなしく寝るしかなかった。
こういう時に有栖の顔が浮かぶ。早く会いたい。心の中に閉じ込められるってどんな感じなのかな。何もしてやれていない自分が歯がゆい。
このまま有栖を救えば靫はどうなるんだろう?黒兎と靫は本当に裏切ったのだろうか?
頭の中が混乱していつの間にやら寝落ちしていた。
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