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「わりい、無駄に不安にさせちまったか?」
「別に……でも、……ちょっとだけ……」
前より素直になれてると自負するオレの答えに、瑠一は満足そうに笑う。
「ちょっとだけ、か」
腰を屈めた瑠一が、視界に影をつくる。
「……届いてねぇよ」
降りてくるはずの唇が、まだ遠い。
薄く笑う顔が憎たらしくて、腕を引き寄せた。
「おいっ……、藍!」
バランスを崩して床に手をついた瑠一が驚いて声を挙げたけど、無視だ、そんなの。
バスタブの縁から腰をあげて、目線より下になった唇を奪いに行く。
「……………………………………………キスすんの、おせぇ」
瑠一はさっき、離してやる気なんか無いって言った。
オレだって、離れてやる気なんかねぇよ。
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