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鼓膜を麻痺させる自分の声がイヤで、ジタバタと出口に向かって逃げを試みた。
「暴れるな、あぶねぇだろうが」
「や、……っやぁ!」
四つん這いで逃げを打とうとしたオレの腰を、10本の指がガッチリと掴んで引き戻す。
「ちょ……っ、ま、待って、あぁ……っ!」
振り向いた視線の先で、瑠一が赤い舌を伸ばすのが見えた。
熱い滑りをそこに感じて、背中を覚えのあるゾクゾクが走る。
次に与えられらる刺激を想像して、立てていた腕が震えた。
「ただ浴びてただけじゃ、ねぇみたいだな」
そこに残っていたらしい、ボディーソープの香りを指摘されて、恥ずかしさのあまり顔に火がついた。
「バ、……カっ」
「良い子だって褒めてんだろうが」
腰を掴んでいた手のひらが、スルリと太股を撫でた。
その手がそのまま前に回って、さっきの続きと言わんばかりに、ゆるゆるとした動きで蠢く。
「あぁぁぁぁ――……」
理性の糸が、オレの手をすり抜けていく。
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