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◇◆◇◇
神崎さんの部屋は沿岸のタワーマンションだった。
おしゃれなエントランスに胸が高鳴る。
ガラス張りのエレベーターに乗って七階まで。
そんな短い時間にも腰を掬われキスされた。
部屋に辿り着く前に蕩け落ちてしまいそう。
手を引かれ、廊下を歩くとつき当たりの扉の前でカードを差し込む。
カチャッと音を立てて鍵が開いて、どきどきが増す。
扉が開かれ、「どうぞ」と導かれる。
一歩入れば爽やかなシトラスミントの香りが鼻先を掠めた。
神崎さんの香りだって思ったら、まるで包み込まれているような気持ちになってますます鼓動が速くなる。
パンプスを脱いで端へ寄せ、「おじゃまします」と呟いてスリッパに足を通した。
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