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「そういえば、どうして神崎さんってわたしのことを如月さんって呼ぶんですか?」
ずっと聞いてみたかったこと。
その呼び方が嬉しかったことは本当。
いつもお姉ちゃんの付属品だったわたし。
そうじゃなくて、ちゃんとわたしを見てもらえているような気がしたから。
「……深愛、って呼んでほしい?」
まっすぐに見据えられ、甘い調子で囁かれて、わたしの体が一気に高熱を発する。
わぁぁ。他の人に呼ばれるのと全然違う。
「そ、そういうことではなくて。あの、他の人はみんな、深愛さんって呼ぶのに……」
「普通、同僚を名前で呼んだりしないよ」
やっぱりそうだ。尊重してくれることが嬉しい。
「まぁ、みんなには如月秘書のイメージが強すぎるんだろうけどね」
そうだよね。
みんなに悪気がないのもわかっている。
ただ、神崎さんがわかってくれればそれで十分なの。
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