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「へ~、そんなこと言うんだ? 愛美ちゃん可愛いだろうな~、楽しみだな~」
あくまでも上から目線でニヤニヤしながら俺の様子を伺っている。
そこへ海翔が風呂上がりの髪をバスタオルで拭きながら、ひょっこり現れた。
「あっ、海翔。いいところに来た。お前土日暇か?」
「別にこれといって予定はないけど、何?」
だいたいこう切り出す兄貴の話にろくな話はなくて、デートの約束が被ったから代わりに片方行けとか、バイトに代わりに行けとか、そんなのばっかり。
「今度の新商品のポスター撮りなんだけど、藤森愛美が来るからファンなら代わってやろうかなって……」
自分が代わって欲しいくせに、相変わらずの上から目線。
「誰? 知らないし、興味ない」
キッチンで水を飲み、エアコンの風が直接あたる場所で髪を拭きながら兄貴を見下ろしている。
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