【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  「……何の用?」 「もう帰ってんだろ?」 「そうだけど……何?」 「よし。あと五分で着くから」 「はあ!?」 素っ頓狂な私の声は届いたのか否か。 長瀬は言うだけ言って、さっさと電話を切ったのだ。 ツー、ツー……、耳から聞こえる電子音に、私はわなわなと体を震わせた。 一体、どこまでオレサマなのよ、あのバカは! 声にならない叫びを心の中であげて、携帯をばちん、と閉じた。 この疲労感の中で、長瀬に付き合う余裕はないのに。 冷静になろうと、ふうっ、と息を大きく吐いて、辺りを見回す。 「……とりあえず、片付ける、か……」 がしがし頭をかいた後、近くにあったヘアゴムを手に取り、髪を束ねて行動を開始した。 .
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