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「風呂、まだだろ。入ってこいよ。飯作っとくから」
「へ?」
「へ、じゃねーよ。さっさと行け」
ご丁寧に、しっしっ、と追い払うようなジェスチャーまでつけた長瀬。
全くもって、事態を飲み込めていない私。
ぽかん、としたまま立ち尽くす私に、「まったく……」と呟いて、長瀬が近寄ってきた。
その繊細で大きな手が、私の頭をがしっと掴む。
「飯、作ってやるって言ってんの。あの案件、こじれて疲れてんだろ? ビール飲みながら聞いてやるから、とりあえずサッパリして来い」
ゆさゆさと頭を揺らしながら、言い聞かせるように。
目線を合わせて言った長瀬の言葉が、胸を打つ。
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