【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  「だーかーらー! なんであんな無茶ぶりばっかすんの!? ってことよ!」 「あー、あの会社、絶対一度はひっくり返すしな」 「そーなの! これまでどれだけイライラしてきたか……!」 「うわー、でもお前でそれだったら、三浦さん、激怒りしてそう」 「してたしてた! 受話器握りつぶすんじゃないかって思ったもん!」 現在、私の手には日本酒が握られている。 すでにビールを三本ほどあけた後、だ。 長瀬が作ってくれた料理をたいらげた私は、スイッチが入ったかのように愚痴を吐き出していた。 まさに、愚痴をつまみに、酒が進んでいる状態。 長瀬は私を否定せず、むしろ乗っかるようにして、ヒートアップする話を頷きながら聞いてくれている。 その対応に、心から感謝した。 会社のことも、仕事のことも。 誰よりもわかっている相手だからこそ、言えることもある。 変な遠慮も面倒な説明も省いて、こんなこと話せる相手は長瀬しかいないこと、いまさらながら気が付いた。 .
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