【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  ベッドで横になっている私の頭を、長瀬の手がやさしく撫でている。 ……それが、昨夜の記憶の、最後。 あまりにも優しい長瀬に、一瞬、見返りが恐ろしい、なんて思っていた私。 その予想とは裏腹に、長瀬は何も要求してはこなかった。 きっと、私が眠った後に自分の家に戻ったんだろう。 出社時刻まで、そう時間はなかったに違いない。 なのに、最後まで私に付き合ってくれた。 自分の睡眠時間を削ってまで、傍にいてくれた。 長瀬の心情や思惑、意図も何もわからない。 けれど。 一緒に飲む空気が。 隣にいてくれる安心感が。 頭を撫でるぬくもりが。 私を包み込むように癒してくれたことだけは、疑いようのない事実だった。 .
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