【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  「……どうかされました?」 「ああ、いえ……すみません」 ……どうして、謝るんだろう。 用事は何なんだろう。 「?」を貼付けたような表情をしているであろう私に、神谷さんは笑った。 「すみません、つい。ちょっと話をしたくて」 「話……ですか?」 「ええ」 神谷さんは、さっきまでと、少しだけ雰囲気が違う。 前に飲んだときに近い、わずかにくだけた空気。 「これから、忙しくなりそうですね」 「あー……そうですね、頑張ります」 「無理を言ってすみません」 「とんでもないです」 当たり障りない、会話だ。 わざわざ呼び止めて、するほどのことなんだろうか。 .
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