【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  神谷さんからの誘いは飛び上がるほど嬉しいし、是非また一緒に飲みに行きたい。 メールが来ればドキドキして、あの日を思い返すと胸がきゅうっと鳴る。 恋する乙女思考になってしまうのも、無理はない気がする。 けれどそれを理由に長瀬を突っぱねられるほど、確定的だとも言い難かった。 つまり、神谷さんが好き、だと、ハッキリ言えるほど、強い感情は、まだないように思う。 何より、長瀬にそれを伝えたときのリアクションが怖い。 『良かったじゃねーか』なんて言って、優しい同期としての一面を発揮し、応援してくれるのか。 それとも、最大の弱みを握った、とばかりに悪魔の笑みを浮かべるのか。 ……どう考えても、後者になりそうな気がしてならない。 かといって、この状況を打開するいい案が浮かぶわけもなく。 考えれば考えるほど、眉間のシワも深まるだけだったから、私は“深く考えない”という方法を選んだのだ。 .
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