【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  残業を終えて、家にたどり着く頃にはもう日付が変わっていた。 もう少し早くあげられると思ってたのに、かなり手こずってしまった。 相手からの要望は、実際に走り出すとひどく無茶なものだらけで、何とかしようと修正を試みるものの、なかなか上手くいかなかった。 最終的には何とか折り合いをつけて、納得してもらえるものを提出できたけれど。 妙に疲れる仕事だった、というのが本音だ。 この業界ではよくあることで、慣れてきているのも事実。 深夜帰宅も難しい修正も、予想通りの展開だったし。 一応、明日は昼以降の出社で構わない、と言われている。 だからといって疲労感が軽減するわけじゃない。 「あー……疲れたなぁ……」 誰もいない部屋でぽつりと呟くと、体中から力が抜けていくような気がした。 ジャケットだけ脱いで、ぼふっとソファに身を預ける。 .
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