【第7話】近付く彼と、遠のくキミ

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  あー、ビール飲みたい……。 お腹もすいてるけど、今から作るの、しんどいなぁ……。 私にしては珍しく、すっかり気力を奪われてしまっていた。 上手くいかない仕事のイライラで、心がささくれているような気がして不快だ。 そんな自分を癒す手段をあれこれ思案していると、さっき放り投げた鞄の中で、携帯が振動している音が聞こえた。 「……こんな時間に、誰よ……?」 面倒に思いながらも、この長さは電話だ。 何か急用なのかもしれない。 ……まさか、送付したデータが間違ってた、とか、ないよね……? 嫌な想像が頭を過り、一瞬で打ち消す。 ないない、それはない。ちゃんと確認したもの。 そう結論づけると、むくり、起き上がって鞄を拾い上げた。 .
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