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遠藤さんと片岡さんは、そんな海翔さんが可笑しくてわざと私に話しかけたりしてくるけど、周りはドキドキ様子をうかがっている。
「早くしないと遅れるぞ」
準備の邪魔をしている張本人なのに狡い。
「電車で行きますから、先に行ってください」
一応ケジメとして結婚するまでは車と電車に別れて通勤していたけど、なんとなく気恥ずかしくてそのままにしていた。
「もう夫婦なんだからいいだろ」
「だって……」
定期券だってまだあるし……。
鏡の前で身だしなみを整えていると、海翔さんが私の鞄を持って寝室を出ていく姿が映った。
「あっ、待って」
「車で待ってるから、すぐ来いよ」
結局電車通勤は昨日で終わりってことで、きっと毎日こんな風に一緒に車で行くことになる。
朝の電車も好きだったんだけどな。
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