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「これで彼に遠慮することもない。ありさ、結婚してくれるね」
ハイと言ってくれ。
心の中で祈りながら、ありさを見つめる。
すると、どう理解したのかはわからないが、さっきまで虚ろだった表情が笑顔に変わり、体を預けるように寄り添ってきた。
「はい、私結婚します」
願っていた言葉に、緩む頬を引き締めることも出来ず、ただその頬にキスをした。
「そう言ってくれると思ってたよ」
ありさの恋人が、今となっては元恋人が悪態をつきながら、帰っていくのをしばらく眺めていた。
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