勝負の時

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かなり濃い。 カッコつけて損した。 こんなに強いお酒飲んだらきっと泣いてしまう。 「はい、交換」 ふと顔をあげると、陸さんが笑いながらマティーニとスプモーニを入れ換えてくれた。 「うん、ありがとう」 「やけ酒失敗だね」 「まぁね。酔っぱらって陸さん困らせてやろうと思っただけだからいいよ」 「俺ならご心配なく、うちに連れて帰ってちゃんと介抱してあげるから」 「失敗してよかった」 少し込み始めた店内で、陸さんは1人で接客をこなし、いつまでも私だけに構ってもいられなくなった。 1人で静かに流れるジャズの音色に耳を傾けながら、これからのことを考えつつグラスに口をつける。 .
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