勝負の時

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「うん」 「どうして連絡してこないの?」 「だって忙しそうだったし……」 もっと素直になれたらいいなと思うのに、甘え下手な性格はなかなか直らなくて、つい言い訳をしてしまう。 「おいで」 「うん」 差し出された傘に一緒に入り、慌てて来たのだろう、雑に止められた車の助手席におさまった。 「シートが濡れちゃう」 「そんなこと気にしなくていいから、シートベルト締めて」 言われた通りにシートベルトを締める。 「どうしたの? 顔色悪い」 急に伸びてきた手にビクリとしたけど、そっとおでこに当てられて冷たさにホッと気を緩めた。 .
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