勝負の時

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どうせ佐伯さんは自宅だからいないんだけど。 「はい、お茶」 「ありがとう」 手渡されたペットボトルのお茶の温かさにホッとする。 「幸恵ちゃん、やっぱり俺にしない?」 「考えとく」 「うん」 それ以上何も言うことなく、陸さんもお茶を飲みながら座っている。 雨に当たったせいで熱がずいぶん上がってきたらしい。 陸さんのジャケットを羽織っていても寒さが治まらない。 そんな状況でまともな判断なんて出来るわけないし、元気になってからゆっくり考えようと目を閉じた。 「古本さん、診察室にどうぞ」 .
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