勝負の時

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コーヒーを片付けると、寝室から布団を持ってきてそっと掛ける。 「お休みなさい」 気持ち良さそうに眠る頬に一度だけ口付けて、鞄を手に今度こそ玄関でサンダルに足を通した。 今日は笑顔が見られたし、声が聞けた。 手を引いてくれた。 だけどそれだけ……。 今日一番の大きなため息を吐いてマンションを後にした。 振り返っても誰もいない。 眠っているから、追いかけて来たりしないんだけど、ちょっとは期待したりして。 駅までの道のりをゆっくり歩く。 誰かに話したいけど、ありさには今心配をかけたくないし。 結局フラフラと辿り着いたのは"Earth"だった。 .
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