第1話

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今日も平和な1日が始まる。 自分の家の玄関の扉を開く。 「行ってきます」 なんて言葉はもう何年も使ってない。 それでも、 「行ってらっしゃい」 と母親は言ってくる。 このことを友達に話すと不思議がられるのだが、俺にとっては不思議がられることが不思議だ。 そこに罪悪感はないのかと問われても、俺はどうしてそこで罪悪感が生まれるのかが分からない。 誰か教えてくれないだろうか。 このように俺は常にどうでもいいことを考えている。 かつての偉人たちのように人類のためになるようなことを日夜熟考しているのなら、この考えるエネルギーは無駄にはならないのだが、残念ながらそのような高尚なことは考えていない。
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