第2話

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「うわああ!」 状況を理解したからすぐ逃げた。 来た道を引き返し、いつもの道を通って駅まで走る。 時々後ろを振り返り、女が追いかけてこないことを確認しても走る速度を緩めない。 無駄に長い階段を上り、駅員のいない改札を抜けて、また無駄に長い階段を下りてホームに着いた。 ホームには誰もいないのが、これほど寂しいと思ったことはない。 いつもなら優越感に浸っているはずなのに、今は知らない人でもいいから誰かにいて欲しかった。 やっと呼吸が整ってきたが、それでも心臓が高鳴ったままだ。 吐き気がするほどに心臓がバクバクしている。 さっきの光景が脳裏に焼き付いている。 階段の上に気を配りながら、腕時計を見て電車が早く来ないかと焦る自分。 さっきの女が電車より先に来たらどうしよう。
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