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―――…
体育館に着くと、彼は慣れた手つきで大きなドアを開ける。
明かりの位置も把握しているのか、真っ暗の体育館に明かりが点いた。
そんな体育館は物静かだった。
当然だけど、私達以外誰もいない。
……彼は何かを発見するとすかさず手にする。
籠に終い忘れたバスケットボールだ。
彼はすぐにトントンとボールを床に打ち付け始める。
そしてドリブルを何度かした後、フリースロー……
カタンッと音が響いて、ボールは吸い込まれるようにネットへ決まった。
……見事なシュートだ。
かなりの距離があるのに、簡単に入れてしまうなんて……
「オレ、バスケしてる時が本当の自分のような気がします」
彼はそう言って、またボールを追いかけていった。
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