2人だけの時間…

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そんな彼の姿を見ながら、私はまた泣きそうになっていた。 理紗は好きな人の楽しみを奪って、それでいいのだろうか? ずっと近くで桐原君のことを見ていたなら、彼がどんなにバスケが好きなのか分かっていたはずなのに…… 「ああっー! もっと試合したかったなぁ」 そう言って彼は、またネットにシュートを決める。 一度も外すことなく、ネットから落ちたボールを手に取っては確実にそこにシュートを決める。 そんな彼の姿が眩しすぎて、目を細めた。 その瞬間、2人きりの時間に終わりを告げるかのように、誰かの携帯が鳴り響いた……。 ……でもよく耳を澄ませば、私と彼の携帯が同時に鳴っていることが分かる。 今流行の着うたの私と、ただの電波音の彼の携帯。 ……ゴクリと息を呑み込むと、持っていたバッグから携帯を取り出した。 彼は眉間に皺を寄せたまま、ズボンのポケットから携帯を取り出している。 互いに沈黙のまま、発信番号の確認をした。 「……木綿先輩だわ」 「こっちは、理紗ですね」 互いにポツリとそう呟く。
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