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その綺麗な瞳に見つめられて、ドキドキという感情が次第に高い音色を奏で始める。
彼がいつの間にか離したボールが跳ねている。
――ポーン、ポーン!
私の心臓の音と、その音が互いにシンクロを始める。
やけに五月蝿いその音に、目を少し伏せて口を開いた。
「……一緒に居たいけど、」
そう呟いた私に、彼はゆっくりと頭のてっぺんに手を載せた。
「“けど” じゃなくて、自分の気持ちに素直になってください!」
そうはっきり言われても、素直になれないのが現実。
「だって、理紗と木綿先輩がきっと心配してるわよ」
「だったら何故です? 何故オレと一緒に来たんですか?」
「それは……」
まだ迷っている私を置いといて、彼は私の携帯の電源も切ってしまった。
「じゃあどうします? オレの手を取ります? それともこのまま帰ります?」
「……取る」
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