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「“不良” ってお姉さん古いですよ。……いつの時代の人ですか? ゲーセンぐらい、誰でも来ますって!」
私の言葉に彼が反応したように、顔だけ振り返る。
まだ階段を上っている途中だ。
ちょっと、危ないわよ?
彼は二階に目的のゲームはないのか、更に上への階段を上り始めた。
「お姉さん。もしかして階段を上るぐらいで、息切れとかしてます?」
「ちょっ、ふざけないで! 階段ぐらいでする訳ないでしょー! 人をおばさんみたいに言わないでっ!!」
「あはは。でも息切れしてきたなら遠慮なく言ってくださいね?」
「“した” って言ったら、桐原君がどうにかしてくれるの?」
「そりゃあ、」
その瞬間、……突然足を止めた彼――
「お姉さんを抱えて、上るだけですけど……?」
と真顔で言う。
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