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“高校生”
今日、ここに来た目的はそこにあった。
……そう、彼と私の距離を確かめるためだ。
私は大学生であって、彼は高校生。
私は成人しているけど、彼はまだ未成年。
そして、そんな彼は“妹の彼氏” なのだと……。
「あっ、ラッキー! 校舎開いてますよ。入ってみます?」
正面玄関に辿り着くと、彼は先に中へ入っていった。
私もすぐに後を追って入ると、彼が来客用のスリッパを私へ差し出してくれる。
「あっ、ありがとうっ……」
「どういたしまして。さてお姫様、何処から見学しましょうか?」
と言った後、彼に綺麗な手を差し出された。
今だけ……
またその手の温もりを感じても、罰は当たらないわよね?
……と祈るように、彼の手に自分の手を重ねた。
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